グレート・デーンGreat Dane

グレート・デーン
犬種 グレート・デーン
英語表記 Great Dane
サイズ 大型犬
体高 オス:80cm以上 / メス:72cm以上
体重 46~54㎏
平均寿命 8~10年

グレート・デーンの特徴

体長と体高がほぼ同じという、体高の高さに特徴のある犬種です。犬種別だと体高の高さのランキングはアイリッシュ・ウルフハウンド、2位がセント・バーナード、3位がグレート・デーンとなっています。立ち姿には力強さと頑強さを兼ね備えており、堂々とした印象です。その素晴らしい体躯を称える意味で、神話に登場する太陽神アポロンに例えて「犬の中のアポロ」と呼ばれることもあります。本来は垂れ耳ですが、かつては狩猟時に獲物となる動物に耳を噛まれたりなどの致命傷を防ぐ目的で断耳する習慣がありました。グレート・デーンに求められる主な役割が狩猟ではなくなってからも、ショードッグに参加する個体については見た目の美しさのため断耳が続けられ、結果立ち耳の姿が有名となりました。現在でもアメリカでは断耳は一般的に行われていますが、ヨーロッパでは動物愛護の観点から健康上やむを得ない場合や獣医師が行う場合を除き、断耳は禁止・制限されている地域が存在します。毛色にはフォーン&ブリンドル、ハールクイン&ブラック、ブルーの3種類が存在します。コンパニオンドッグ、ハウンドドッグ、警備犬、軍用犬など様々な場面で活躍しており、原産国ドイツ以外でも特にアメリカで非常に人気のある犬種です。

グレート・デーンの性格

「優しい巨人」との呼び名もあるほど、飼い主に対して献身的で人懐っこく、周囲に気を配りながら優しく接する性格です。小さな子どもや自分より小柄な犬に対しても友好的に振舞えるため、子どものいる家庭や多頭飼いにも十分な適性があります。立派な体格や威厳のある見た目に反して寂しがり屋な面もあり、飼い主や家族にべったりと甘える子も存在します。怖いもの知らずで忍耐強く、飼い主の言うことをよく聞こうとするため訓練も容易です。子犬の頃にはやんちゃで自分のパワーを持て余し、はしゃぎすぎてしまう個体もいますので、飼い主側で制御が難しそうなら訓練の専門家を頼ることも検討してみましょう。

グレート・デーンの飼い方

グレート・デーンはシングルコートで短毛ですが、体が大きいため比例して抜け毛の量も多くなりがちです。普段の手入れは犬の負担にならないよう、パーツ毎に分けて毎日短時間ブラッシングを行うなどの工夫を行いましょう。体表は固く絞ったタオルで優しく清拭すると汚れや匂いの対策になります。運動は、毎日朝と夕方に1日2回、1時間以上ずつ散歩を行いましょう。定期的にドッグランに連れていき思い切り走らせることでストレス発散にもなり、より満足感を与えられます。グレート・デーンは大型犬ですが室内飼いが推奨される犬種であり、暑さにも寒さにも弱い傾向があります。散歩やドッグランで遊ばせる際には暑さ・寒さの極端な時間帯を避けることを意識しておきましょう。食事は1日2回に分けて与えましょう。これは、胸の深い体型の犬は一気に大量の食事を取ったり、食事の直後に激しい運動をすると胃捻転や胃拡張などの致命的な疾患が起きやすいためです。グレート・デーンは発症率が高いことで有名なため、普段の生活でも特に注意すべき点と言えるでしょう。いきなり食事を全く食べようとしなくなった、もしくは食後に気分が悪そうにぐったりしているなどの反応が見られた場合にはすぐにかかりつけの病院に相談、受診するようにしましょう。グレート・デーンに限らず大型犬は共通して短命の傾向にあります。普段の生活の中で、小まめに健康状態をチェックする癖をつけておくようにしましょう。

グレート・デーンの歴史・起源・生態

世界には700~800ほどの犬種があり、これらは国際畜犬連盟(FCI)により10のグループに分類されます。グレート・デーンはグループ2(使役犬)に分類され、番犬や警護犬として働いてきた犬種です。原産国はドイツです。グレート・デーンの祖先については諸説ありますが、その中でも、イングリッシュ・マスティフやアイリッシュ・ウルフハウンドなどのイノシシ狩猟犬から改良されたとする説が一般に知られています。イギリスと並んで愛犬国であるドイツを代表する犬種の1つであり、1800年代のドイツでは「ドイツドッチェ」と呼ばれていたようです。グレート・デーンという名前は「Great=大きな」「Dane=デンマーク」ということで大きなデンマークの犬という意味になりますが、これはグレート・デーンをたまたまデンマークで発見した学者が当時まだ名前のなかったこの犬を「デンマークの大きな犬です」と紹介したために付けられた名前とされています。1880年には、ベルリンのショーでグレート・デーンのスタンダードが初めて定められ、1888年以来このスタンダードには数年に1度の修正が加えられながら管理されています。1965年にはアメリカのペンシルぺニア州の州犬になっています。日本に初めて輸入されたのは明治時代の頃とされています。

グレート・デーンの気を付けたい病気

三尖弁閉鎖不全症、拡張型心筋症、大動脈弁狭窄、胃拡張、胃捻転、股関節形成不全、ウォブラー症候群、アジソン病(副腎皮質機能低下症)、淡色被毛脱毛症、ダイヤモンドアイ、汎進行性網膜萎縮、白内障、カンジダ症

グレート・デーンの一口メモ

グレート・デーンの子犬の相場価格は2022年現在30万~50万円前後となっています。グレート・デーンはお迎えする費用以外にも、食費、医療費、介護費などの費用が高額になりがちです。ペットを飼うというよりも人間が一人家族に加わる感覚でいた方が良いでしょう。体高の高さに特徴のある犬種ですが、2022年5月にはアメリカ・テキサス州ベッドフォードで飼育されているグレート・デーン犬のゼウスくん(2歳、オス)が存命中の世界一背の高い犬としてギネス世界記録に認定されました。ゼウスくんの体高は約104.6cmにも及ぶそうです。外を歩くと通行人に馬と見間違われることもあり、2歳ながら地元ではすでに有名な存在になっているようです。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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